冷凍パンっておいしいの…? 話題の「パンのサブスク」にツッコんだら、おいしいを超えた“未来”が見えた

冷凍パンっておいしいの…? 話題の「パンのサブスク」にツッコんだら、おいしいを超えた“未来”が見えた

まだ見ぬ「全国のパン屋さん」との出会いがここに!

最近、とある“変わり種のサブスク”が話題になっているのをご存じですか?

その名も「パンスク」。毎月おいしい冷凍パンが届くという“パンのサブスク”です。

2022年には「⽇本サービス⼤賞」にて農林⽔産⼤⾂賞を受賞。人気テレビ番組『日経スペシャル カンブリア宮殿』(テレビ東京)でも特集されるなど、まさにブーム前夜を迎えつつある同サービスですが…

どんなパンが届くの? そもそも冷凍パンって本当においしいの? と、いろいろツッコミどころがあるのも事実。

パンスクを運営する株式会社パンフォーユー 代表取締役 矢野健太(やの・けんた)さんに、そのへんを遠慮なくツッコんでみたところ…

全国のおいしいパンを多くの人に届けるために技術と時間を費やした、同社の熱意が明らかになりました。

〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉

ツッコミ①:冷凍パンって、本当においしいの…?

矢野さん

パンスクは「おいしいパンを、旅しよう。」をテーマに、全国どこかのパン屋さんから冷凍パンが届く“パンのサブスク”です。


食パンなどの食事パンや、甘いパン、惣菜パンなど、多種多様なパンを1箱に8個前後詰めてお届け。


現在の提携ベーカリーは100店舗以上、会員登録者数は4万人以上と、ユーザーからもパン屋さんからもご好評いただいています。

こちらが実際のパンたち。おいしそう…

石川

写真を見るだけでもおいしそうとは思いつつ…「冷凍」というのが引っかかってまして。


パンを冷凍すると、品質が落ちてしまいませんか?

矢野さん

そこを不安に思われる方が多いんですが…私たちは「冷凍だからおいしい」を実現しています。


その秘密は、独自開発した“パンを入れる冷凍袋”と“冷凍のタイミング”にあります*。

*国際特許出願中

矢野さん

水分と香りを閉じ込める専用の袋を使うことで、焼きたてのおいしさを保ったまま冷凍・配送できるようになりました。


冷凍庫から取り出し温めなおすだけで、いつでもおいしいパンを⾷べられます。


しかも賞味期限が1カ⽉以上あるので、⾷品ロスの心配もいりません

石川

焼き立てのまま…パン屋さんの特殊な機械で冷凍してるってことでしょうか?

矢野さん

いえ、弊社が提供する冷凍袋を使っていただければ、特別な設備投資は一切不要です。


ふつうの冷凍庫さえあれば焼き立てのおいしさを再現できるので、全国のパン屋さんにも負担なくパンスクに参加していただけています。

矢野さん

実際に、株式会社味香り戦略研究所の協力のもと、冷凍パンの”食感の変化”に関する調査をおこなったところ…


パンフォーユーの独自製法で冷凍したパンは、1日後・1カ月後ともに、常温で1日置いたパンよりもっちり&ふわふわを維持できていると判明。


さらに、1日後と1カ月後の調査結果ににほぼ差はなく、弊社の独自冷凍技術はパンの長期保存方法としても最適なことがわかりました。


さらに過去の検査*でも、独自技術のおかげで“デンプンの⽼化”が抑えられていると判明していて、焼き立てに近い状態でパンをお届けできると自信を持って言えます。

*一般財団法人日本食品分析センターによる検査

デンプンは通常の場合、時間の経過とともにβ化し、パサパサとした⼝当たりの悪い状態に戻ってしまいますが、パンフォーユーの独自製法で冷凍したパンはデンプンの量を示す糊化度(こかど)が高く、時間が経ってももっちりした状態を保っているんだそう

ツッコミ②:どんなパンが届く?自分で選んでもいいの?

石川

届けてもらうパンやお店は、自分で選べるんでしょうか?

矢野さん

いえ、あえて「選べない」ようにしています


ワクワクしながら待っていただきたいので、どこから届くか、どんなパンが入っているかは、箱を開けるまでのお楽しみにしています。


代わりに、弊社のメンバーが1店舗1店舗試食して、パン屋さんを厳選させていただいています。

石川

「何が出るかわからない」のが逆に楽しいのか…! 言われてみればそうかもしれません。

矢野さん

まさに、ワクワクを楽しみたいという需要のほうが大きいと感じています。


その“ワクワク感”をさらに楽しんでいただくために、パンと一緒にショップ紹介カードもお届けしていまして…

矢野さん

こんな感じでパン屋さんのこだわりや想いも一緒にお伝えしていて、これを楽しみにしてくださっているユーザーさんも多いんです。


「おいしいパンを、旅しよう。」のコンセプト通り、ご自宅にいながら全国のパン屋さんを巡ったようなワクワク感を味わっていただけます。


ユーザーのみなさんから全国のパン屋さんにメッセージを送れる機能もあり、たくさんの暖かいメッセージをいただいているんですよ。

実際のメッセージがこちら!

  • 広島県在住⼥性から、徳島県のパン屋さんへ

  • 初めての冷凍パン、半分ドキドキと半分どうなのかなと待っていました。

  • 最初はコッペパン。パンスクさんの美味しい⾷べ⽅を参考にして⾷べたら⽣地の柔らかさやほんのりした⽢さ、とても美味しかったです。

  • 期待通りでした!特に焼きたての⾷パンやフランスパンが好きです。でも冷凍パンでそれが味わえるのは最⾼です

ツッコミ③:電通出身の矢野さんが、なんで「パン」で事業を?

石川

「パンスク」の魅力は伝わってきたのですが、どうして矢野さんがパンに着目したのかが気になってきました。


矢野さんは、以前からパンにまつわる事業に関わっていたんでしょうか?

矢野さん

いや、最初はまったく関係なくて(笑)。新卒で電通に⼊社し、名古屋⽀社で中吊り広告や駅の広告を担当していました。

石川

中吊り広告から、どうしてパンに…!?

矢野さん

じつは昔から「魅⼒のある仕事を地⽅に作りたい」という想いがあって。


電通を退職後は教育系ベンチャーを経て、地元・群⾺のNPOにUターン転職したんですが…


そんな折に出会ったのが、地元の冷凍パンメーカーでした。

矢野さん

正直言って、それまでパンを「本当においしい」と感じた経験はなかったんですが…


その冷凍パンメーカーさんのパンを⾷べて、純粋に感動したんです。「冷凍パンってこんなにおいしいんだ」「おいしいパンって、本当にあるんだ」って。


地元に根付いたパン屋さんがあることは、それ自体が街の魅力になり、人の流入にもつながっています


実際、おいしいパン屋さんがあるか否かで、住む場所を決める人もいるくらいです。

石川

わかる気がします。そういえば私の地元にも、知る人ぞ知るおいしいパン屋さんがあったなぁ…

矢野さん

地域の独⾃性や強みを発揮できる「パン」という文化と、「冷凍」という技術、そしてパンスクのような「IT」を駆使したビジネスモデルを組み合わせれば、かねてから思い描いていた“地方に貢献するビジネス”を実現できるんじゃないか。


そんな想いで始めたのが、パンフォーユーという会社です。

パンフォーユーでは、全国のパン屋さんのIT化を支援する「パンフォーユーモット」という独自開発システムも提供しているそう。配送や注文管理などの業務をスマホひとつで一元管理できるため、忙しいパン屋さんが“パンを焼く”という本業に集中できます

石川

なるほど…パンスクは、地方のパン屋さんを活性化させる手助けでもあるんですね。

矢野さん

はい! ありがたいことに、全国のパン屋さんから「パンスクのおかげでコロナ禍を乗り切ることができた」という声もたくさんいただいています。


店頭販売だけのビジネス構造では、どうしても立地や天候に売上が左右されてしまいますが…販売範囲を全国に広げられるようになったことで、新しい“パン経済圏”の可能性が広がったと自負しています。


弊社ではパンスクのほかにも、法人向けの福利厚⽣サービス「パンフォーユーオフィス」や、パンを売りたい事業者さんの“パンビジネス”を包括⽀援する「パンフォーユーBiz」というプラットフォームも運営しています。


今後も全国のパン屋さんが楽しく経営できる世界を実現すべく、さまざまな形でパン経済圏を広げていきたいと思っているので…


ぜひ、パンスクで全国の“おいしいパン”の魅力を知っていただけたらうれしいです!

「冷凍×IT」の力で、新しいパン経済圏を切りひらく

そんな矢野さんの野望が形になればなるほど、私たちがおいしいパンにありつける機会も増えていきそうです。

“冷凍だからおいしい”というパンスクの絶品パンを味わいながら、矢野さんと一緒に全国のパン屋さんを応援してみませんか?

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