家業継承と企業の脱炭素に貢献。大分発・「山業」の可能性に挑む田島山業

家業継承と企業の脱炭素に貢献。大分発・「山業」の可能性に挑む田島山業

家業継承と企業の脱炭素に貢献。大分発「山業」の可能性に挑む田島山業
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大分に根ざす「生産者の顔が見える林業」

田島さん

田島山業は、大分県日田地方を中心に約1,200ha(東京ドーム約255個分)の森を所有・管理し、専業林家として代々山を守り続けてきました。

田島さん

スギやヒノキといった木材を市場に卸す一方、地元や近隣地区の製材所や家具店、住宅メーカーなどへの直接販売にも力を入れています。


たとえば、2019年、大手工務店が国内で初めて手がけた、木と鉄骨の両方でできた中高層の集合住宅にも木材を提供しました。


大手工務店の従業員がうちの山を訪れ、木材選びや植林にかかわるなど、顔が見える木材取引を大切にしています

森久保

顔の見える林業…!


スーパーで、野菜売り場に「生産者の顔」が書かれていることがありますが、木材でも同じように安心感や温もりが感じられそうです。

田島さん

さらに、長年培った熟練の技術者たちによって生産された“生産者の顔が見える木材”は、工務店や家具メーカー、消費者からも定評があるんです。

森林の持つ多面的機能をビジネスにも

森久保

でも、林業って大変な仕事というイメージがどうしてもあります。

田島さん

そうなんです。ここまで、林業についてお話ししましたが、木が育つには40〜50年かかるもの。


実際は補助金に頼らざる得ないビジネスモデルとなっており、難しい産業です


そこで、現在は森の持つ多面的機能をどうビジネス化していくか、木材から新しい「山業」の形を模索しています。

森久保

木材以外の価値…?

田島さん

その1つが、森林のCO2吸収量を国のJ-クレジット制度で販売することです。


同制度では、森林のCO2吸収量を、CO2を排出する企業などに、1トン単位で販売できます。


弊社は、民間企業で全国第6位となる約4,000t-CO2/年の森林吸収系J-クレジットの認証を取得しているので、脱炭素の取組に関心を寄せる企業へ販売することに注力していこうと考えています。

田島さん

生物多様性保全や水源涵養への取組が社会的に求められていく中で、企業のサステナビリティ活動での連携をしていきたいと考えています。


時代の変化にしなやかに対応し、新しい「山しごと」を作っていきます。

起業家の支援をしてくれる「Oita GROWTH Ventures」

森久保

田島さんは、大分県の起業家を対象に、さらなる事業成長を支援している「Oita GROWTH Ventures」のプログラムを受講されたと聞きました。


僕のまわりでも、会社を辞めて第一次産業で起業する友人もいるんですが…


受講してみてどうでしたか?

田島さん

Oita GROWTH Venturesのようなプログラムがなければ、家業は親族内で話し合って事業を決定していくしかないんですよね。でも親族間で話すとどうしても感情が出て判断に迷ってしまう。


メンターに事業内容を聞いてもらいながら、自分たちでは知り得なかった方や、出会う可能性が低かったであろう方々とのご縁を繋いでいただき、その方たちとの出会いで事業成長のスピードが上がっています

田島さん

林業で働く人って、給与は高くないし危険の中に入っていかないといけない。


でも元々森づくりが好きだったり環境に貢献したいというモチベーションが高かったりする方が多く、そんな社員さんたちが“良い人生だった”と思ってもらえる、やりがいを感じてもらえる会社になるよう努力していかないといけないと思っています。


森や環境を守っている僕たちが日頃何をしているのか、どんなプレイヤーがいるのか、そこを企業や一般の方にも知ってもらえたらうれしいですね。

私たちの日常生活になくてはならない一方で、収益性や安全性の面で厳しい現実に直面している林業。

しかし、志ある経営者が「林業の新たな価値」を模索するなかで、田島山業のように、日本の未来につながる成長を遂げようとしている会社も現れていました

田島山業も採択者の一人である大分県アクセラレーションプログラム「Oita GROWTH Ventures」では、2023年3月1日(金)に成果発表としてOita GROWTH Ventures DEMODAYを開催予定。ご興味のある方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてください

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