葬祭事業から地域をつなげ、つながり続ける会社へ。地域生活課題の日本一少ない大分県を目指す取り組みとは

葬祭事業から地域をつなげ、つながり続ける会社へ。地域生活課題の日本一少ない大分県を目指す取り組みとは

想いを若者や社会に遺す仕組みづくり
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大分県に拠点を置く「Oita GROWTH Ventures」。事業成長を志向している起業家・第二創業者の方を対象に、さらなる事業成長を支援するアクセラレーションプログラムです。

令和5年度には、5名の起業家が同プログラムに採択されたそう。個性豊かな5名の起業家たちの、取り組みや想いをご紹介!

今回登場するのは、株式会社ファイン 統括本部長 茶屋元崇行さんです。

〈聞き手=森久保発万(新R25編集部)〉

「誰もが、誰かに見送られる安心」を提供

茶屋元さん

株式会社ファインでは、「生前から死後までの手続きサポートと、想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みづくり」を目指しています。


社是は「誰もが、誰かに見送られる安心」。


故人やご遺族の意向に沿ったお別れと、費用の明瞭性を重視した葬祭事業を、大分県内の3市8会館で展開しています。

森久保

故人とのお別れ…大事なことなはずなのに、つい目を背けがちな分野ですよね。


御社はもともと葬祭事業を営んでいらっしゃったのでしょうか?

茶屋元さん

いえ、もともとは家業として仕出し料理店を長く経営していたのですが…その間に祖父を亡くし、見送る経験をしました。


棺の中の祖父の頭に触れながら「最後は自分が見送った」と感じた場面を今でも鮮明に覚えていて…お葬式で“人を送る”ということに強烈なインパクトを受けたんです。


現社長も、形重視で費用も不透明な当時の葬祭業界に疑念を抱いたそうで、「形よりも心を重視し、細やかで心のこもったお葬式をしたい」という強い想いから、葬祭業に参入。


大分県では初となる“家族葬”という名称を用い、2010年には「家族葬の判田台会館」を開館しました。

茶屋元さん

私自身も、故人の生前からの想いを叶えて「その人らしさ」を表現することに強く魅力を感じ、当時勤めていた大分合同新聞社を退職。家業の株式会社ファインに入社しました。

現在は統括本部長として、葬祭事業部の業務全般や、企画・広報等のマネジメント業務、地域の人とのつながりを重要視した地域連携業務を担っているそう

ウェルビーイングを広め、もっと“暮らしやすい大分”に

茶屋元さん

当社では葬祭事業のほかにも、「送ってくれる人がいる安心」を生前から感じてもらえるよう、さまざまな事業をおこなっています。


みんなの後見センター」も、私たちが手がける地域ネットワーク発展事業のひとつ。

茶屋元さん

成年後見制度」が2000年から始まったものの…


お金の面や出てくる専門用語の難しさから、制度を必要とする方が多いにもかかわらずなかなか浸透しないという課題があります。


なかには認識が不十分のまま制度を使い、不利益を受けている方もいらっしゃるんですよ。

森久保

たしかに、制度の名前自体は知っているけど、具体的にどんな制度なのかはあまり知らないかもしれません。

茶屋元さん

そうですよね。でも、正しく使えばとても有用な制度でもあるんです。


そこで、誰でも気軽に成年後見制度について相談できる場所をつくりたいと思い、立ち上げたのが「みんなの後見センター」です。


「成年後見ラジオ」の配信や、成年後見制度に関する検討会、「市民後見人養成講座」への講師派遣など、さまざまな形で情報発信に取り組んでいます。

茶屋元さん

ほかにも…


・豊かなシニアライフを提案する「おおいた終活フェア

・シニアの美と健康をサポートする「ファインエイジング研究室

・大分に幸せを広げる「OITA Wellbeing EXPO


など、さまざまなイベントを主催しています。

森久保

もはや「葬祭事業」の枠を超えるくらい幅広いですね…!


今後はどんな目標を掲げているのでしょうか?

茶屋元さん

私の目標は、「大分へウェルビーイング(しあわせ)を広める」こと。その実現のために、独自の地域財団設立を目指しています。


というのも…時代の流れとともに、家族や地域コミュニティといった従来の社会の仕組みが変わり、超少子高齢・無縁多死・ 孤独孤立など、現代社会特有の課題が多発していますよね。

森久保

僕らにとっても、他人事ではないですね…

茶屋元さん

お葬儀の現場では相続人がおらず、遺産が国庫に帰属するケースも増えています。


一方、地域には子どもや社会的養護経験者、障がいを持つ方々など、どうしても支援が必要な人たちがいるにもかかわらず、声を上げたくても上げにくい現状がある。


そのような方々の声を代弁し、必要なところにお金が循環する仕組みをつくりたいと考えています。


気軽に自分のことを話せる居場所ができ、もっと互いに歩み寄れる社会になれば、誰にとっても暮らしやすい大分になるはずです。

新たなきっかけをくれた「Oita GROWTH Ventures」

森久保

茶屋元さんは、大分県の起業家を対象に、さらなる事業成長を支援している「Oita GROWTH Ventures」のプログラムを受講されたと聞きました。


実際に受講されてみて、事業にどんな変化がありましたか?

茶屋元さん

自分たちだけで新たな取り組みをやろうとすると、「本業もあるし忙しいから仕方ないよね」と後回しになりがちでした。


ですが、今は「Oita GROWTH Ventures」が定期的なメンタリングで伴走してくださるので、スケジュール管理や課題の整理など、スピード感を持って進められています

茶屋元さん

また、メンターから俯瞰した視野の広いアドバイスをもらえるだけでなく、業種を越えた企業とのマッチングなど、思いがけない展開もありました。


「想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みづくり」が本当に実現できたら、地域にとってもすごい収穫だと思うんです。


社会課題は一企業だけでは解決できません。「Oita GROWTH Ventures」でキッカケをいただき、後押ししてもらえるのはすごくありがたいです。


私たちが何を考え、何をしているのかを、世の中に広く知ってもらえることを期待しています。

いつか必ず訪れる“別れ”。見送る側も見送られる側も後悔がないよう、今から備えておきたいものです。

株式会社ファインも採択者の一人である、大分県アクセラレーションプログラム「Oita GROWTH Ventures」では、2023年3月1日(金)に成果発表としてOita GROWTH Ventures DEMODAYを開催予定。

ご興味のある方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてください!

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